看護師による認知症ケアのポイントとは?
認知症は薬物療法で症状の緩和や進行を遅らせることはできますが、病気を治すことは今の医療では行えません。そうなると長い期間の継続した看護師による認知症ケアが重要になります。まずは基本の健康管理。認知症の患者は体調の変化を感じにくく、また感じても上手に他者に伝えることができない可能性もあります。バイタルサインはもちろん見た目の変化や食事の摂取状況などいつもと違うことがないか観察しましょう。安全な環境作りもまずはじめに行うべき看護です。まずは危険がないように調整することと、患者が安心できる環境を提供できるよう配慮しなければいけません。例えば時計やカレンダーがきちんと置いてあり生活リズムが自分で整えられるかどうか、説明した事柄をメモし、すぐ見られるようにしておくのも安心を提供することにつながります。認知症の患者は頭の中で情報を上手に整理できないため私たちの想像の出来ないところで多くのストレスや不安などを抱えて精神状態が悪化してしまいます。この悪循環を断ち切るために気分転換や患者が興味を示してくれそうなものをどんどん提示し五感の刺激や精神状態が良好に保てるような援助が大切です。認知症の患者の家族にも看護の手を差し伸べる必要があります。認知症の患者への看護を指導するのもいいのですが、負担の大きい家族の悩みや不安を少しでも軽減できるような関わりや地域のサポートの紹介を行うことも必要です。認知症患者のケアでいちばん難しいのがコミュニケーションです。患者が穏やかになり安心して接してくれるような関わりを意識していく必要があります。